なぜオタクはチェックシャツなのか?~チェック柄の歴史~

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誰このオッサン

自分も人のことを言えないような気がしますが、自分自身でも気になったので書きます。

実は、これは親の世代の問題なのです。

結論から書くと、親が若い頃にチェック柄のファッションが流行ったことが原因です。
ちょうど70年代~80年代です。

今の10代に近い若いオタク(親が80年代~90年代)は、ユニクロなどで買い揃えるので、意外とチェックにジーンズという典型的なファッションは少なくなっています。
上は黒いシャツに、下はジーンズというファッションが多いです。

しかし20代・30代くらいになるとチェックにジーンズが多くなります。
親のセンスが70年代~80年代だからです。

この世代の親のチェックにジーンズというスタイルは当時、今で言うユニクロのように安価で身近なファッションだったのです。

それを子どもに再現しようとして、チェック柄のシャツが必然的に自宅に増えます。

そしてそのチェック柄のシャツを着ざるを得ないのです。

なぜ着ざるを得ないのかというと、私を含め、オタク傾向のある人は、幼児期の抑圧経験から、まず性格が内向的です。
よって社交性に乏しいので、根底のところで自分に自信がありません。
鏡の前に立つことさえも嫌であり、まして自分のファッションなんてどうでもいいのです。

「自分が周りからどう見られているか」と他人の目は気にしますが、
「自分が周りからどう見られたいか」と「自分から自分の魅力を発信すること」はしたくないのです。

実際は、俗に言うファッションに気を遣うリア充(リアルが充実してる人のこと)の自宅にも、親の買ったチェックの柄のシャツは山ほどあるはずなのです。
しかし自信があるので、親の旧世代のチェックの柄のシャツなんて着ずに、自分で最新のファッションを求めて行きます。

チェックの柄と言っても多種多彩です。

アーガイル柄、市松模様、ウインドウペーン、ギンガム、グラフ(方眼紙)チェック、グレンチェック、タッタソールチェック、タータンチェック、千鳥格子(en)、バーバリーチェックなどがあります。

中でもオタクが着てそうな柄に限定すると「タータンチェック」「チェンナイチェック」が最も多いです。
色は「赤」が多いです。次点で「青」だと思います。

タータンチェックの歴史

タータンチェック

「タータンチェック(Tartan Check)」は、イギリス・スコットランドの伝統衣装で、布を格子状に織った柄です。
氏族の紋章のようなもの(日本で言うと家紋のようなもの)で、儀礼や戦争などで象徴として使われます。

イギリスに定着していますが、更に古くは5世紀アイルランドのブレアカンという格子柄に織り込む手法に原形が見られます。
それがイギリス・スコットランドに伝来しました。

しかし「タータン」という言葉が定着したのは16世紀頃で、語源はフランス語の「テリターナ(teritana:麻と毛の交織織物)」に由来します。

なぜイギリスなのにフランス語で名前がついたのか?

これはスコットランドに、当時(16世紀頃)の先進国であったフランス・イングランド・フランドルなどから移民が流入して、公用語さえもゲール語(古アイルランド語)ではなく、フランス語と英語になったからだと思われます。

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これが日本で流行ったきっかけは、1970年代後半にイギリスのロックバンドである「ベイ・シティ・ローラーズ(Bay City Rollers)」が人気を博したことが大きいです。

これに70年代のBIBAなどのブティックも乗っかっていて、若い世代へ向けて安価なファッションを提供したので大人気でした。
↓当時のBIBAの人気ファッション

タータンチェックからトラディショナル・スタイルへ

そしてこのイギリス文化が、アメリカのアイビー・ファッション(※)を中心とするトラディショナル・スタイル(traditional style:固そうなイギリス・トラディショナルと、崩したアメリカ・トラディショナルがある)となって、アメリカの流行をそのまま取り入れさせられていた当時の日本でも人気が出ました。

トラディショナル・ファッション

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(※)アイビー・ファッション:アイビーとは、アメリカのエリートである東側の名門8大学を総称してアイビー・リーグのことという。ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学、ペンシルバニア大学、コロンビア大学、ブラウン大学、ダートマス大学、コーネル大学のこと。リベラル・アーツ教育が特徴的。ここの卒業者のようなエリート上流階級・支配層のファッションで伝統的で保守的なファッションとも呼ばれる。

日本でオタクファッションの象徴なってしまったのは親の世代の影響もありますが、歴史的な経緯を知ると
タータンチェックのように否応なく他からの言語で定義されて、「過去」という保守的伝統を引きずろうとするインテリという意味において、オタクを投影しているような気もします。

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チェンナイチェック(マドラスチェック)の歴史

マドラスチェック・チェンナイチェック

「チェンナイチェック(Chennai Check)」とは、インドのマドラス地方産の細番手の綿糸を用いた多色の格子縞のことを言います。
どこか「タータンチェック」に似ているように見えますが、これには理由があります。

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チェンナイチェックは、昔は「マドラスチェック(Madras Check)」と呼ばれていましたが、1996年に「チェンナイ(Chennai)チェック」に改名しました。

これはインドの東側に位置するチェンナイ地方が、1639年からイギリスの植民地でしたが1996年にインドに返還されたためです。
今までイギリスに「マドラス」と名乗らされていましたが、インドに返還され、元の名称である「チェンナイ」として地元的な独自ブランドの名前に戻したのです。

とはいえインドでチェンナイと名乗り始めたのが1580年なのでチェンナイチェックのオリジナルは、イギリスのタータンチェックにあるように思われます。イギリスにタータンが定着した16世紀と年代も一致します。

どちらにしてもチェックの歴史を遡れば、タータンに帰結していきます。

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このようにタータンチェック(トラディショナル)や、チェンナイチェック(マドラスチェック)のような「チェック柄のシャツ」は
単に「親世代の人気ファッション」という経緯もありますが、
実は歴史的な経緯から見れば「伝統保守的で自由主義なインテリの服」という意味で、無意識に「オタクを引き寄せてる」とも言えるのです。

(参考)ファッション辞典 [単行本]

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